最近、頑張りすぎていませんか?【心理室コラム】

  • 自分がいっぱいいっぱいに頑張っているときに、「もう頑張らなくていいよ」と言われると、確かにほっとするけれども、同時に「本当にそれだけでいいのか?」という疑問が湧き上がってくることがあります。

「手を抜け」「いい加減でよい」と言われても、なんだか「いい加減に人生を生きろ」と言われているようで抵抗も感じるし、そもそもやり方がわからない…。そんな疑問が浮かぶことはありませんか?

 

    もしかすると今の状態は『頑張る』ではなく、『頑張りすぎ』ている状態かもしれません

    『頑張る』と『頑張りすぎ』には違いがあると言われています。では、どんな違いがあるのでしょうか?

    “これ以上やったら頑張りすぎ”というように、頑張りの“量の違い”だと思う方も多いのではないでしょうか。もし、“量の違い”であるとすれば、“頑張りすぎ”と言われた場合、単に頑張りの量を減らすだけでよいということになります。

    しかし、実際には頑張りの量を減らしただけでも、「うまくやれていない感じがする…」「これで十分なのか?」と不安になることもあります。

    実は、『頑張る』ことと『頑張りすぎ』ることの違いは、“質の違い”であると言われています。

    では、“質の違い”とはいったいどんな違いなのでしょうか?

    頑張る=自分ができるだけ頑張る

    頑張ると、達成感を得ることができます。頑張りを「十分」と感じることができるのです。たとえ目標に達していなくても「今の時点ではこれで十分」と感じることができます。 自分が望む方向に向けて努力し、自分には力があると感じ、「今の時点ではこれで十分」と達成感を覚えられれば、自己肯定感も高まります。

    頑張る=自分ができるだけ頑張る

    頑張りすぎ=どれほど頑張っても足りないと感じてしまう心

    もう十分に頑張ったし、他のこととのバランスにおいて、これはこの程度でやめておいたほうがよいとか、そういう感じ方ができなくなるのが「頑張りすぎ」です。

    ひとたびそういうモードに入ってしまうと、どれだけ頑張っても「まだ頑張りが足りない」と思ってしまうので、心はどんどんボロボロになってしまいます。

    頑張りすぎ=どれほど頑張っても足りないと感じてしまう心

    『頑張りすぎ』の背景には、

    『ユガミン』たちが関わっているかも!?

    『ユガミン』って何?

    同じ出来事なのに、人によって浮かんでくる考えが違ってくるのは、人それぞれに考え方のクセがあるからです。よくある考え方のクセは8タイプあり、この8タイプをキャラクター化したものが『ユガミン』です。

    誰の心の中にもユガミンはいますが、ここでは“頑張りすぎてしまうこと”に関わる主なユガミンたちを紹介します。
    『ユガミン』って何?

    ベッキー

    自分や他者に対して「~すべき」「~でなければならない」と考えることが得意。
    ベッキーと仲良くなりすぎると…

    ルールに縛られて生活が窮屈になったり、自分や他者の失敗を許せず、怒りや緊張を感じやすくなったりします。

    (例:「人と話すときは、いつも笑顔でなければならない」と考え、体調不良などで辛いことがあっても、頑張って笑顔を作ろうと無理をしてしまう。)

    ベッキー

    シロクロン

    物事を『白か黒か』で割り切り、完璧さを求めさせることが得意。

    シロクロンと仲良くなりすぎると…

    完璧でなければ納得できないため、自分の行いを振り返って少しでも満足できないと、「これは失敗だ」などと全否定し、自信を失ってしまいます。

    (例:テストは100点でなければ納得できないため、返却された90点の答案を見て、「これではダメだ」と落ち込んでしまう。)

     

    シロクロン

    マグミニ

    自分の短所や失敗を大げさに考えて、自分の長所や成功を小さく捉えることが得意。

     マグミニと仲良くなりすぎると…

    ささいなミスや失敗を大げさに考えすぎて憂うつや不安になったり、自分の良いところを「できて当たり前」と過小評価してしまいます。

    (例:練習でゴールが1回も決まらなかったことを「とんでもないミスだ」と思い込み、試合でゴールが決まったことを「まぐれだった」と考えてしまう。)

    マグミニ

    あなたと仲の良い『ユガミン』は、いましたか?

    ユガミンを抱えていること自体は、とても自然なことです。問題となるのは、ユガミンによって生み出された極端な考えを“鵜呑みにしてしまうこと”です。それによって考えの幅が狭くなり、ネガティブな思い込みがどんどん膨らんでしまう。そして、『頑張りすぎ』る事態に陥ってしまいます。

    「私は『頑張りすぎ』ているとき、ユガミンの影響を受けているかも…」と気づいておけると、この先『頑張りすぎ』で苦しんでいるときに、『頑張りすぎ』を和らげ、『頑張る=自分が出来るだけ頑張る』に近づけるかもしれません。

    引用・参考文献:
    水島 広子 (2012) 「心がボロボロ」がスーッとラクになる本 さくら舎
    竹田 伸也 (2012) 認知療法トレーニング・ブック 遠見書房

     

    臨床心理室