通院時に活用できる保証制度 【医療福祉相談室コラム】

協会けんぽ(社会保険)「現金給付受給者状況調査報告(令和3年度)」によりますと、働けなくなった理由の約3分の1(32.96%)は精神疾患が原因でした。平成7年度の調査では4.45%であり、比較すると7.4倍に急増しています。今まで家計を支えていた方が急に病気となり、休養が必要であるにも関わらず、収入が無くなる不安から無理に働こうとされ、自身を追い詰める結果になる事も少なくありません。
そういった不安を抱える方が精神科通院される時に利用できる社会保障の一部を案内させて頂きます。

通院時に利用できる社会保障

【 自立支援医療費制度(精神)】
精神疾患で精神科通院や投薬が必要な方の医療費の支出を抑えます。窓口負担が1割となり、尚且つ、所得に応じて上限額が設けられます。また、都道府県により異なりますが、助成制度もあり、支払った金額の殆どが戻ってくる場合もあります。
自立支援医療で適応される医療とは『診察費用』『お薬代』『訪問看護費用』『精神科のデイケア利用料』です。
手続きの方法は、通院している医療機関で診断書の作成依頼し、お住いの市町村の窓口で申請を行います。

【 特別障害者手当 】
精神又は身体に重度の障害があり、日常生活で常に特別な介護を必要とする20歳以上の方が対象です。

【 特別児童扶養手当 】
20歳未満の精神又は身体に障害のある児童を家庭で看護、療育している父母に支給されます。

【 障害児福祉手当 】
在宅で生活されている20歳未満の方で、該当する障害者手帳をお持ちの方であり、精神又は身体に重度の障害があり、日常生活で常に介護が必要な方に支給されます。

【 障害者年金 】
精神科を通院された20歳以上の方で、初診日から1年6カ月が経った時に病気やけがの為、就労や日常生活に支障があり、要件を満たしていると受給できます。年金納付要件の確認が必要で、年金の種類によって窓口が異なりますので年金の相談窓口でご相談下さい。

必要な制度を活用する為に

今回は社会保障の一部を紹介させて頂きました。働く事ができない状態であっても、傷病手当や社会保障を活用し安心して療養できる場合があります。
制度の活用をする為には、生活の中で患者さまやご家族が何に困っているか(お風呂に入れない事や掃除ができない必要な手続きが難しくて一人では市役所に行けない等)を診察時にしっかりと主治医へ伝える事が大切です。殆どの制度利用には診断書が必要ですが、診察の場面では生活の一部しか伝える事ができない患者さまもいらっしゃいます。「こんな事を話してもいいのかな?」と悩まずに、必要な制度を活用する為にも普段の生活で困っている事を診察の場面でご相談してみてはいかがでしょうか?
必要な制度を活用する為に

医療福祉相談室